満腹詩人ブログ

ぐっすり眠ってたらふく食らい、好んで味わうセンチメンタル。悩みらしい悩みもないのだけれど、幸せだとは思っちゃいない。ぼくもあなたも「まんぷくしじん」- まだ何を書いていくか定まらない多文量ブログ。

見知らぬ虫の名前を、インターネットで調べたら。明日の地球がどうか平和でありますように。

【警告】虫注意

今回の記事では虫の話を扱います。
虫の話題全般が苦手な方は十分ご注意ください。

 

 【警告】虫画像注意

今回の記事の内容は、
私がある虫と出会い、その虫の名前を知る、
という話です。

 

私がその虫と対峙した時点での、
ビジュアルのインパクトを共有できたほうが
読んでて面白いはずだ。
と思ってしまったので、画像を載せます。

 

イニシャルGのように、
メジャー級でいやがられている虫ではないですし、
これを読んでいるあなたのお宅でも、
しばしば目にしたことがあるんじゃないかとは思われますが、
改めて眺めるとそれなりに気合いの入った姿をしている虫です。

 

それに話の流れというものがあるので、
思いついたら他の虫の画像も貼るかも知れません。
(※貼りました)

 

確実に貼ろうと思っている画像、
今回の話題の中心となる虫は、
人体に害は与えないような虫だそうです。

 

そうだとすれば、
"虫嫌いの人にとっては、精神的な苦痛の原因である。"
とわざわざwikipediaに唐突に書かれているのは、
やはりこいつのビジュアルのせいだとしか思えません。

 

ですので注意を促しておきます。
虫の話題がある程度平気だという方でも、
念のため、視覚的なショックに備えて心の準備をして下さいね。

 

 

さあ、画像が出ますよ。

 

 

ドン!

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画像はこの虫のwikipedia項目から引用。
まだ正体は明かさないので、リンクは後ほど。

 

こいつはね、
写真じゃちょっと大きく見えますが、
毛とか触覚みたいなのを除けば
頭からおしりのあたりまでせいぜい1cmくらいの生き物です。

 

でも、不揃いな足の長さ、
はっきりとして大きな腹部、
触角はありふれているとしても、
おしりに変な毛まで生えてる。

 

動けばすごくすばしっこくて、その上、
お腹のあたりを中心にウネウネと
蠢(うごめ)くため、なかなか気味が悪い。

 

そういうわけで、小さい身体の割には
遭遇時のインパクトはでかいと思うんですよ。

 

さて。
そろそろ本題に参りましょうか。

 

ある夏の夜、

Tシャツ一枚に膝上くらいまでの長さの
柄のパンツといった出で立ちで。
いつものように私は、パソコンに向かい合っていた。

 

机の下で組んだ足が
急にもぞもぞし始めたので目をやると、
気色の悪い生物が蛇行しながら、
私の足を凄い勢いで這い上がってくるところだった。

 

「ヒヒィ!」
心の中で叫んだ(もういい大人なので声には出さない)私は、
慌ててその虫をティッシュ・・・で掴むときに
自分の足に押しつけるのは絶対イヤだった。

 

だって毛とか生えてるし。
見るからに禍々(まがまが)しい。
きっと毒とかがあるに違いない。

この虫!

邪悪な虫め!

お前なんかフンゾゾ虫だ!

 

とっさの判断で、私はフンゾゾ虫を
デコピンで弾き飛ばすことにした。

 

びっ。

フンゾゾ虫は宙に消えた。

 

自分の足の無事を確認する。
いまのところ痛くはないし、
腫れたりもしていないようだ。
どうやら刺されたり噛まれたりしなかった。
無事だ。

 

デコピンをした指の爪を見る。
フンゾゾ虫を弾いたときに、
かなりいい手応えがあったので、
体液的なものが付着していることを覚悟したのだが、
ついていたのは粉的なもの。

 

電灯の光を反射してよく見ると、
細長く虫の形にキラキラしている。
うーん、なんだかラメっぽい。
鱗粉? ああ見えて蛾なの?
いったいなんなんだ?

 

私は、あいつの姿が見えなくなったことが
だんだん不安になってきていた。
だって得体が知れなさすぎる。

 

実はあいつを見かけたことはこれまでもあった。
けれどこんなに接近されたことは初めてのことだった。
もうこれ以上、見て見ぬ振りはできないと思った。

 

あいつはまた必ずやってくるだろう。

 

また足や、次はもっと●※□♪▲なところに
フンゾゾ虫が張り付いたりしたら?
ウネウネ這い回られたら?
想像するだけでそわそわする。

 

あっ!

 

私は思い出した。

 

そういえば最近母親が、

でかけた先で見かけた大きな蛾の名前を、
帰ってきてから図鑑で調べていたのだ。

 

判明した名前はオオミズアオ
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「コンニチハー」 
オオミズアオ - Wikipedia

 

わざわざそんな調べ物をしたのは、
オオミズアオが大きくて白くてきれいだったからだ。
蛾の名前が分かった母は、満足そうだった。

 

そして図鑑の同じページに、
オオミズアオの幼虫の写真も載っていた。

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「コンニチハー」 オオミズアオ - Wikipedia


「これは見つけたら殺す。
だって気持ち悪いから!」
と母は言った。

 

・・・話が逸れた。

 

とにかく私が思い出したのは、
母が図鑑で蛾の名前を見つけたことだ。

 

そうだ、あいつについて調べよう。

 

そして対策を立てるんだ。
牙も毒も棘もないヒトにとって、
知恵こそが最後の武器なんだ。

 

図鑑だ、知恵だ、武器だ。

武器、私の武器はどこにあるんだ?

 

でも図鑑というやつにはたいてい、
似たジャンルの虫が固まって並んでいる。
セミならセミ、チョウならチョウ、ガならガだ。

 

じっくり見たわけではないが、
あれは果たして昆虫なのだろうか。
クモの仲間かも知れない。
しかしウネウネしていたから、
ヤスデやムカデみたいなタイプなのかも知れない。

 

フンゾゾ虫が何の仲間なのか、
私には見当もつかなかった。

 

図鑑を手に取る前に途方に暮れた。
私は相変わらずパソコンの前にいる。

 

パソコン?

 

そうだ、それならば、パソコンで調べて観よう。
グーグル先生はきっと何だって教えてくれるはずだ。

 

キーワードを入力する。

「虫 1cmくらい」
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・・・カボチャ?
途方に暮れた。

 

もっと細かく書くべきだろうか。

 

「虫 1cm 素早く動く お尻に毛」
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・・・アリジゴク??
途方に暮れた。

 

ははあん、さては虫じゃないのかな?

 

「1cmくらい 動くの早い お尻に毛」

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・・・ダイエット???
途方に暮れた。

 

そんなことを繰り返すうちについに。

 

「鱗粉 体長1cmくらい ウネウネする
お尻に毛が生えてる 生き物 名前が知りたい
触角がある 室内で見かける 素早く動く」

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「と、獲ったどー!」

 

見かけたのとはちょっと色が違う気がするけれど、
ついに有力な手がかりをゲットできたのだった。

 

見当が付けば、

あとは掘り下げてみるだけだ。

 

そうしてついに分かった、
この虫の名は。

 

「シミ」。
シミ目 - Wikipedia

 

そうか、フンゾゾ虫よ、
お前の名は「シミ」というのか・・・。
「セイヨウシミ」や「ヤマトシミ」がいるらしいのだが、
見かけたのがどちらかはちょっと分からなかった。

 

漢字で書くと紙の魚と書いてシミと読むらしい。
紙魚。あるいは衣魚。

 

紙の表面などを舐めるように食害するとか。
妖怪みたいなやつだ。

 

身体をくねらせて動く姿が魚のように見え、
紙や布を食害することからその名が付いたらしい。
英語でもシルバーフィッシュと呼ぶらしい。
かっこいいな。銀の魚って他にたくさんいる気はするけど。


いちおう害虫扱いとなるとはいえ、
被害は実は微々たるもので、
人体の健康に被害を与えたりもしないという。

 

爪に付いた粉はどうやら鱗粉で正しいらしい。
羽がないのは、退化したり取れて無くなったりしたのではなく、
蛾や蝶のような、羽が出来る前の
古代の状態を維持しているということらしい。
3億年前から同じ姿で。

 

そして昆虫のくせに、環境さえ整えば
7~8年も生きるという。

 

なんだよフンゾゾ虫・・・おまえ案外すごいやつだったんだな。

 

ヤマトシミの項目には、

飼育方法なんて項目まであった。
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ヤマトシミ - wikipedia

 

手軽に飼えるようだ。
飼う気にはならないけど。

 

ほとんど無害だということも分かったし、
イニシャルGなみの歴史を誇るということも知って、
うっすらと畏敬の念すら抱き始めていた。人としての尊厳がゆらぐ私。

 

だめ押しは、小林一茶が読んだという俳句だった。

 

『逃るなり 紙魚の中にも 親よ子よ』

 

小林一茶といえば200年前の歌人だ。
きっと江戸時代からシミは、キモい虫扱いだったのだろう。
そんな虫の中にすら親や子の姿を重ね、慈悲を見出すとは・・・。

 
やはり歴史に名を残すような人は違うのだなと
軽く打ちのめされた。
小林一茶を人生で一番身近に感じた瞬間でもあった。

 

相変わらず、
シミの見た目が気色悪いとは正直思うけれど。

 

もう今日から私は、シミを見かけても、
積極的に排除しようとは考えないことだろう。

 

親よ子よ。

無知、そのなんと愚かなことか。

 

あの虫は刺さないし噛まない。毒もない。

 

親よ子よ。
知らないということが、差別や偏見を生む。

 

時は2013年8月末。
世は化学兵器だ空爆だで、相変わらず揉めていた。

 

親よ子よ。
お互いを知り、認め許し合うハードルは高くとも、
せめて積極的に排除する手を休めるくらいは出来ないものか。

 

親よ子よ。
でも動いている姿はやっぱりちょっと・・・。


紙魚のお食事風景 - YouTube

 

それじゃあ、またね!

 

 

生き物をテーマにした句選。

写真句行 一茶生きもの句帖 (小学館文庫)

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「文字食う虫」収録。

ドラコニア綺譚集 (河出文庫)

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読んでません。

無知との遭遇 (小学館101新書)

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フンゾゾ虫。

Magical Vacation(マジカルバケーション)

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G。

この本欲しい。

武器―歴史,形,用法,威力

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