満腹詩人ブログ

ぐっすり眠ってたらふく食らい、好んで味わうセンチメンタル。悩みらしい悩みもないのだけれど、幸せだとは思っちゃいない。ぼくもあなたも「まんぷくしじん」- まだ何を書いていくか定まらない多文量ブログ。

『マンオブスティール』 - ザックスナイダーが脱がせた赤パン。

こんにちは、 HASUSU VANです。
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公式サイトから飛べるGLYPH CREATORに挑戦したところ、
「あなたの名前はVAN家のHASUSUです」的なメッセージとともに、
このような紋章が表示されました。

 

いきなりVANだのなんだの言われても愛着を持ちようがないので、
不慣れな英語であれこれ検索してみたところ、
VANというのはスーパーマンのお母さんの家系みたいですね。
でもお母さんのエンブレムと言われても、なあ・・・。

 

結局詳しいことはよく理解できませんでしたが、
紋章はカッコイイ気がするので画像は貼っておきました。

 

みんなもグリフクリエイターやってみよう!
GLYPH CREATOR(英語サイト)

 

さて。
前回記事に引き続き、
マンオブスティールの話題です。

 

前回記事
「ザック・スナイダーにハズレ無し」を検証すべく『マン・オブ・スティール』観た。やっぱりハズレ無し

 

今回もなるべくネタバレなしで進めますが、
本編をご覧になってからの方が楽しめるかと存じます。
メインストーリーに関係ない小ネタバレが少し含まれます。

 

スーパーマンとは何だったか。

まずはこちらをご覧下さい。
1970年代~80年代のスーパーマン。

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クリストファーリーブスが演じた、
映画シリーズのスーパーマンです。
これが、おそらく世界でもっとも認知されている
スーパーマンのスタイルでしょう。

 

青い全身タイツ。
赤いブーツ。赤いマント。
黄色いベルト。
胸には大きなS。
そして、赤いパンツです。

 

かつてスーパーマンとは、
「赤パン」だったのです。

 

赤パンのゆくえ

そしてこれが2013年版、
「マンオブスティール」版のコスチュームです。
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そうです。
「赤パン」履いてません。

 

ベルトとかロゴの背景とか、
鮮やかだった黄色の部分もすっかりなくなってます。
マントとか、見切れてるブーツはかろうじて赤いですけど。

 

色味は光の加減ではなくて、
こういう暗めな感じになっています。

 

私最初、監督のザックスナイダーが脱がせたんじゃなくて、
製作のクリストファーノーランが脱がせたんじゃないかって、
仮説をいおうと思ってたんですねここで。

 

バットマン」ってご存じですか?
彼もね、パンツ脱がされてるんですよ。

 

パンツ仲間とその裏切り

1960年代のTVシリーズにおけるバットマン(とロビン)。
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これはもはや、完全にブリーフ・・・。
全身タイツにブリーフです。

 

で、これが2010年の。
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マチガエタ!
これはバットマンじゃなくてビッグダディでした。
『キックアス』という映画に出てきます。
まあブリーフは履いてませんけど。

 

中身はニコラスケイジですけど。
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ビッグダディに変装中のニコラスケイジ、とても良い役!

ニコラスケイジのスーパーマンコスプレもどうぞ

 

こっちが本当のバットマン、2005年のクリストファーノーラン製。
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クリストファーノーランが監督を務めた、
「ダークナイト」シリーズのバットマンです。
パンツは履いてません。

 

中の人はクリスチャンベール、むちゃんこ男前っす。
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でもバットマンの場合、
ノーランが関わるよりも前から、
パンツ脱いでるんですよ。

 

1980年代~1990年代の映画、
ティムバートンが監督を務めたシリーズのバットマンをご覧下さい。
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ものすっごいラバーが感ありますけど、
とにかく、ぱっと観て分かるような、
パンツは履いてませんよね。

 

ノーランパンツ嫌い説の棄却

バットマンのパンツはどうやら、
クリストファーノーランが脱がせた訳ではありませんでした。
だってクリストファーノーランが手がける前から
すでにバットマンはパンツを脱いでいたのです。

 

そうなると、スーパーマンのパンツを脱がしたのは
クリストファーノーランではないかという仮説、
すなわち「ノーランパンツ嫌い説」は
私の中ではあっという間に説得力を持たなくなりました。
それはそれで残念なことですが、事実は事実です。

 

でもちょっと待ってください。
スーパーマンは、バットマンがとっくにパンツを脱いだ、
2006年にも映画化されてます。
スーパーマンリターンズ」当時の姿をご覧下さい。
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マントやパンツの赤の鮮やかさ、そしてなぜか表情まで、
どことなく憂いを帯びて暗めになってはいますが。
パンツはパンツ。ちゃんと履いています。
赤パンです。

 

バットマンがパンツを脱いで20年近く経っているのに、
スーパーマンは赤パンを脱ぎませんでした。

 

やはりスーパーマンは赤パンだったと考えるべきでしょうか。
事実は事実です。

 

もはや話題は、誰が脱がせたか?ではなく、
どうして脱いだのか?という問題へと
展開せざるを得ません。

 

脱いだのはパンツだけか?

ところで、映画に登場しないものを登場しないと
述べてしまうのはネタバレなんでしょうか。

 

そういうのもネタバレだと思われる方は、
いまの隙に急いでここから逃げてください!
ここからはパンツの中身の話に移ります。
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海外サイトのフォーラムでファンが寄せたイラストを引用

 

あ、パンツの中身といっても下ネタじゃないんですよ。
「スーパーマンにとってパンツとは何だったか?」ということです。
それを考えるためのヒントを求めて、赤いパンツ以外にも
脱がされたものがないかどうかを検討してみます。

 

すでに述べたように、
「マンオブスティール」では
赤いパンツは出てきません。
他には何が出てこないでしょうか。

 

 

メガネは掛けない

クラーク・ケント」というスーパーマンの人名は、
マンオブスティールでも使われていますが、
世を忍ぶ仮の姿としてのメガネの男クラークケントが
新聞記者として暗躍する話ではありません。
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だから電話ボックス早着替えも出てきません。
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ただ最近は、ケータイ電話の普及で
電話ボックスが街から姿を消しているので、
原作コミックの方でも困っているようです。

 

なおメガネは掛けませんが、ヒゲは生えます。
タンクトップだって着こなします。
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「スーパーマンのテーマ」が鳴らない

スーパーマンを観たことがない人でも、
聞き覚えはあるのではないでしょうか。
スーパーマンのメインテーマ。

Superman (スーパーマンのテーマ) - YouTube

 

ぱっぱぱぱーん、ぱぱぱぱぱーん。

 

この名曲が、「マンオブスティール」ではなんと一度も使わません。
言われないと気がつかないことかも知れませんが、
パンツの件と同じか、もしかしたらそれ以上に重要なことだと思います。

 

マンオブスティールのメインテーマはこんな感じです。


Man of Steel Theme Song Original Motion Picture ...

 

マンオブスティールのテーマも私は好きですが、
「スーパーマンのテーマ」が鳴らないというのは意味深です。

 

「マンオブスティール」という意味

スーパーマン=赤パンの謎をおって、
ようやくマンオブスティールという
タイトルの意味を思うに至りました。

 

改めてタイトルをご覧下さい。
そこにはスーパーマンとは書いてありません。

 

つまりこの映画は、
赤パン=スーパーマンの映画ではないのです。
「マンオブスティール」、
すなわち「鋼の男」の物語なのです。

 

赤パンを脱がせ、メガネを外し、
メインテーマを鳴らさなかったことの意味は全て、
「スーパーマンではない」ことを
強調することにあったののではないか、
というのが、今回の私の長い話の結論です。

 

赤パンを脱いだとはつまり、
スーパーマンであることをやめた、
ということだと思われたのです。

 

前情報では、この作品のことは
「スーパーマンの誕生を描いた」なんていう風に言われていました。

 

実際の評判としても、
「悩めるヒーローの物語」「ノーラン節炸裂」なんてものが
多いように思います。

 

でも私がいちばん印象に残っているのは、
特別な力を持たない、悪であれ善であれ、
超人のやることに翻弄されるしかないような、
一般の人々が多く描かれていたことでした。

 

鋼の男をヒーローとして受け入れる物語

「スーパーマン」は、自称じゃなくて呼称なんですね。
他の人から呼ばれるようになって初めてヒーローとして認知される。
つまりヒーロー、スーパーマンの象徴たる赤いパンツは、
履くものではなく、履かされるものだったのです。

 

「マンオブスティール」の作中で、
スーパーマンとおおっぴらに呼ばれるシーンはありません。
匂わせるシーンが少しあるだけ。

 

「鋼の男」は、
鳥や飛行機と間違えられるようなこともまだないような、
まったく未知の人物なんです。

 

素性の分からない超人が、
突然現れて跋扈し始めたら?

 

普通の人はきっと怖がりますよね。
軍隊だって出動しちゃうかも知れません。

 

鋼の男が、どのようにしてその身を明らかにし、
スーパーマンというヒーローとして
人々に受け入れられていくのだろう?

 

本作は、そういった赤パン獲得視点でも
楽しむことのできる懐の深い映画だと思います。

 

もし実際に謎の超人が現れたら、
一般の人々はどういう反応するのだろう?
そういったシュミレーションとして楽しむのも一興です。

やはり「ザックスナイダーにハズレ無し」ですね。

 

もちろん、赤パンのことは忘れて、
普通に空を飛ぶシーンの爽快感とか、
バトルのダイナミックさとかを眺めているだけでも楽しいよ!

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今年の夏も良い映画がいっぱい観られて幸せです。
それじゃあ、またねー。

 


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